西村 美保 教授
共通科目(2025年度より地球市民学科)
日本語が上手になるということについて探求していきます
日本語非母語話者がどのように日本語を学び上達するのか、また、どうすれば日本語母語話者が非母語話者との日本語によるコミュニケーションに慣れるのか関心を持っています。教員インタビュー
Q1
学生時代の思い出や打ち込んだことについて教えてください。
? 私は第二次ベビーブームの世代で、大学足球彩票が非常に多い、激しい競争の時代、実は大学入試に合格すること自体が目的のようになってしまっていました。それで、入学した後、2年間の教養課程であまり興味のない科目や難しい科目を勉強することに一生懸命になれませんでした。とりえあえず英語だけはしっかりやっておこうと思いラジオなどで勉強を続ける一方で、自力でお金を稼げるというやり甲斐にとりつかれ、社会勉強という名目で様々なアルバイトに時間を費やしていました。今思えばもっと大学の勉強をしっかりして有意義に過ごせば良かったなと反省もしています。一方で学生時代にやっておいて良かったと思うことは、熱気球のサークルに入って北海道から九州、そしてフィリピンまで飛ばしに出かけたり、国や自治体からの派遣などで海外に行ったりして、多くの人に出会い、様々な見聞ができたことです。
Q2
先生が、ご自身の専門に取り組むようになったきっかけを教えてください。
? 学部生の時に全学向けの日本語教育関係の授業を履修して、韓国人の留学生と親しくなりました。彼女は国で日本語を専攻して、日本で大学院に入ろうと研究生をしていたのですが、日本語がとても流暢であるばかりか、日本人の大学生は普段使わないような敬語も使いこなしていて、非常に感心しました。その後、自分も韓国語を学ぶようになり、日本語とは別の形で敬語が非常に発達していることを知りました。高校生の頃から日本語教員になりたいと思ってはいましたが、学部では言語学を専攻しつつ、中高の英語の教員免許を取るために英語学や英文学の科目を履修しました。また、第二外国語として履修したロシア語の先生に非常にお世話になっており(今となっても一番の恩師です)、卒論ではロシア語を扱いました。しかし、大学院に進学してからは韓国人日本語学習者をテーマにしたいと考えるようになった最初のきっかけは、上述の一人の留学生との出会いでした。
Q3
研究テーマの魅力や面白さはどのようなところにありますか。
博士課程に進学したのち韓国に留学し、そのまま現地で日本語を教えるようになり、とても良い経験となりました。その後日本に戻ってからは韓国人留学生を教える機会が減ってしまったので、少しずつ研究テーマが変わって来ました。特に清泉に来てからは留学生対象の授業より日本人学生のほうが教える機会として多くなったので、現在の中心的な関心としては、日本語教育を学ぶ学生がどのように成長するかということです。
とはいえ、私が一貫して興味をもっていることは、言語と教育です。第二言語の能力や、母語を教えようとする態度や思考がどのように変化するのか、その仕組みが一体どうなっているのかということなのですが、結局のところ自分自身が歩んできた道のりを振り返ろうとしているのかもしれません。
とはいえ、私が一貫して興味をもっていることは、言語と教育です。第二言語の能力や、母語を教えようとする態度や思考がどのように変化するのか、その仕組みが一体どうなっているのかということなのですが、結局のところ自分自身が歩んできた道のりを振り返ろうとしているのかもしれません。
Q4
学生へのメッセージをお願いいたします。
?? 私の好きな言葉は、“Where there is a will, there is a way.”(意志あるところに道は通ず)と、”??? ??? ??? ??.”(若い時の苦労は買ってでもせよ)です。大学では、人に頼って生きるのではなく、失敗を恐れず自ら道を切り開いて力強く歩んでいくことを学んでほしいと思います。清泉女子大学には、本当に好きなことを楽しんで勉強している学生が割と多いように感じます。小さな女子大学ですが、様々な興味関心や考え方が尊重される雰囲気があり、一人一人がのびのびと好きなように過ごせるのがこの学校の良さではないでしょうか。4年間で自分が本当に好きなことや打ち込めること、大切な仲間を見つけて、その後の人生をいかに生きるべきか考える機会にしてもらえればと思います。
教員紹介
氏名 | 西村 美保 |
フリガナ | ニシムラ ミホ |
職種 | 教授 |
所属 | 日本語教員課程(2025年度より地球市民学科) |
取得学位 | 博士(学術) |
学位取得大学 | 名古屋大学 |
最終学歴 | 名古屋大学大学院国際開発研究科国際コミュニケーション専攻博士課程後期課程 満期退学 |
専門分野 | 日本語教育 日本語教員養成 |
研究テーマ | ACTFL-OPIに基づく日本語口頭運用能力測定に関して、学習者における「聞き手の反応」、特に「共同発話」などの「聞いて話す」能力、およびCan-do-statementsや韓国人学習者の日本語習得に関心を持っている。また、日本語教員課程における履修者の能力の育成も研究課題としている。 |
所属学会(役職) 及び受賞歴 | 日本語教育学会 日本語プロフィシェンシー研究学会(査読委員) 大学日本語教員養成課程研究協議会(理事) 小出記念日本語教育研究会 言語文化教育研究学会 社会言語科学会 |
主要業績 | 【著書】 ?『教養日本語』(共著)韓国;淑明女子大学校出版局 2002年2月 ?『NEW CONCEPT JAPANESE 1/2』(共著)韓国;時事日本語社 2002年7月/9月 ?『社会を築くことばの教育―日本語教員養成のこれまでの30年、これからの30年』第Ⅱ部「日本語教員養成の諸相」第3章「大学学部レベルの日本語教員養成カリキュラム」ココ出版, 2023年1月 【論文】 ?「ACTFL-OPIにおける「聞いて話す」能力測定の意義」『清泉女子大学紀要』 59号, pp.185-191. 2011年12月 ?「清泉女子大学日本語教員課程の現状と課題」『言語教育研究』7号, pp.105 -119. 2015年6月 ?「多文化共生時代における母語話者育成の在り方-教養としての日本語教師養成-」(単著)『大学日本語教員養成課程研究協議会論集』第18号, pp.13- 24. 2020年3月 ?「多文化共生社会における母語話者のプロフィシェンシー―接触場面で必要 となるコミュニケーション能力の構成要素―」『日本語プロフィシェンシー研究』第9号, pp.35-49. 2021年6月 ?「韓日大学生間の同時双方向型交流授業の実践―互いの学習目標を達成する手段としての交流―」(共著)『日本語敎育硏究』第57輯, pp.77-95. 2021年 11月 ?「オンライン国際連携学習の試み―日韓協定校間における同時双方向型国際共修―」(共著)『清泉女子大学紀要』第69号, pp.105-120. 2022年1月 ?「プロジェクト型日本語教育実習における実習生の学び」『清泉女子大人文科学研究所紀要』第44号, pp.139-154頁. 2023年3月 ?「接触場面でのプロフィシェンシーを高めるための活動―日本語学習者と日本語母語話者のオンライン交流―」(共著)『言語教育研究』第15号, pp.173-191. 2023年7月 ?「日豪大学生の接触場面プロフィシェンシーを高めるための活動―手書き文通での交流学習―」(共著)『清泉女子大学紀要』第71号, pp.145-160. 2024 年1月 ?「大学の日本語教員養成課程における地域と連携した教育実習のデザインと課題―日本語教員養成課程担当教員へのインタビューから―」(共著)『大学日本語教員養成課程研究協議会論集』第21号, pp.1-16. 2024年3月 ?「日本語学校における大学日本語教員養成課程の実習受け入れの現状と課題 ―連携のために何が必要か―」(共著)『大学日本語教員養成課程研究協議会論集』第21号, pp.37-56. 2024年3月 ?「日本語教師教育者の専門性―教師教育者が考える熟達した教師教育者とは―」(共著)『小出記念日本語教育学会論文集』第32号, pp.71-86. 2024年3月 【辞書】 ?『日本語口語表現辞典』(共著)研究社 2013年10月 ?『研究社 日本語口語表現辞典〈第2版〉』(初版166項目+24項目追加)(共著)研究社 2020年2月 |
社会活動、 文化活動等 | ?「韓流コミュニケーションスタイル~韓国人とつきあう方法」シティカレッジ勝川「国際相互理解を深める」(講座分担担当) 於:アーバン?ルネサンス勝川(愛知県春日井市)2006月1月 ?「言語理解の過程と習得」名古屋市大学連携講座「ことばと思想」(講座分担担当) 於:名古屋市生涯学習推進センター 2006年12月 ?「とよた日本語能力判定―現状と課題」(企画セッション「多文化社会におけるテスト」話題提供パネリストとして)『日本テスト学会第7回発表論文抄録集「社会に貢献するテスト科学」』pp.50-53. 於:名古屋大学 2009年9月3日 ?春日井市?大学連携講座「自分自身を韓国語で表現しよう! ~協働で学ぶ初歩の韓国語講座」6回講座 於:知多公民館(愛知県春日井市)2010年10月~12月 ?日本語教育学会2023年度NKG-TVシリーズ「これからの日本語教育人材養成を考える」第3回「大学と日本語教育機関の連携による日本語教師養成」(動画)2023年3月 |